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武蔵野読書生活

神保町と古書店、そしてうまいカレーが好きな本好きのブログ

『軍靴のヴァルツァー』は兵器の進化と運用の変遷の教科書になるか?

ちょっと前に知人から紹介されて読んだらハマったコミックが『軍靴のヴァルツァー』。19世紀中葉の欧州をモチーフにした架空の国家を舞台に軍事的な才能に恵まれた青年将校が大活躍する物語だ。

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軍事的才能に恵まれた青年将校、などと書くと、あたかも『銀河英雄伝説』のような爽快な立身出世的物語かというとそうではないのがこの物語の面白いところだ。

主人公ヴァルツァー少佐は、軍事大国「ヴァイセン」(プロイセンをモチーフにした国家)から、周辺大国間の緩衝国となっているバーゼルラントに派遣された軍事顧問だ。軍事顧問といっても派遣先は士官学校の教官役。ヴァルツァー本人は本国での栄達を望んでいたようで、軍事後進国バーゼルラントへの派遣について、当初はあまりよく思っていなかった描写がある。

しかし、バーゼルラントで内紛が勃発し、周辺大国の政治軍事をまじえたドロドロとした干渉が始まり、発火点となった。そこのことが彼と彼の軍事才能が、この紛争を通してこの「疑似」欧州世界全体の兵器運用や戦術に影響を与え始めた…というのが最新刊の第9巻の状況だ(このくらいならネタバレになってないよね)。

ちなみに今回のタイトル、あまり深掘りするとネタバレになってしまうのでぼかすけど、例えば過去巻の鉄条網の軍事的応用に至るストーリーは他の兵器との組み合わせによって戦場での主導権を握る、という展開がとても素晴らしかった。

もちろんあくまでもヴァルァー少佐は19世紀レベルの兵器に合致した戦術レベルで様々な戦術を考案し、戦場で勝利を掴むわけだけど、多少強引なストーリー展開でもリアリティという意味でさほど違和感を感じさせないのが作者の力量なのかもしれない。そういう意味では、マンガで学ぶ兵器進化史入門(ただし近代に限る)的な立ち位置の参考書として、楽しみながら兵器や戦術の進化を学べると思っている。

ということで仮想戦記好きで旧式兵器でもOKと言う人ならまさにオススメだし、歴史ものやSFパラレルワールドものが好きな人にもぜひ読んでもらいたい一冊だ。