鬼才ヒラコーの快進撃!『ドリフターズ』
先日、「今、『ドリフターズ』が面白いらしいッスよ」と知人から聞いた。
最初、あの「ウィーーーッス」のいかりや長サンの方かと思ったので「え、何をいまさら?」と更に聞いたら、あの学園黙示録でも大活躍のヒラコーこと平野耕太の新作だとか。
こりゃ読んで見ねばなるまいて、と読んだら面白いんだよな、これが。まだ第1巻が出たところだけど、さすがぶっ飛んでいるヒラコー。のっけからナゾだらけ飛ばしすぎなにこれコワイって感じwだ。
主人公は島津豊久、関ヶ原合戦終盤での「島津の退き口」から一瞬にして異世界に転移させられるところから物語が始まる。そこはまるでウルトラセブン「第四惑星の悪夢」長官執務室のような場所、そしてさらに異世界へ転移させられる。ここまで説明一切ナシ。転移先の欧州中世風の世界でエルフの子供と出会い、連れて行かれた先には第六天魔王信長に美少年那須の与一となぜか歴史上の人物が待ち構える。
いったいこの世界はどうなっているんだ…という感じで魅力的な物語が始まるのだ。
他にもハンニバル、スキピオ、土方、ジャンヌダルク、菅野直と歴史上の人物が綺羅星のように登場する。まるで山田風太郎『魔界転生』に豊田有恒『スペースオペラ大戦争』を掛け合わせ、そこにちょっと『ベルセルク』や『ガンツ』を隠し味で入れたようなSFテイスト満載のコミックだ。おまけにヒラコーの好みで佐藤大輔風の味付けがあり、「ドラボーン」とか「空中警戒騎」とか『皇国の守護者』や『A君の戦争』(おっとこれは別著者でしたなw)あたりで見かけそうな単語がゾロゾロと出てくる。
しかしなんといっても良かったのは菅野直がドラゴンを敵と認識するシーン。一瞬「じわっ」と来ましたね。日本人ならあそこではああ行動するだろうなあ、と。ということで『ドリフターズ』は歴史好き、ミリタリー好きにお勧めだ。
ちなみに本体表紙(カバーの中ね)は某玉吉先生ファンなら激怒しそうな喜びそうなイラストがw
相変わらず遊び心の多いヒラコーだよなあ…