武蔵野読書生活

神保町と古書店、そしてうまいカレーが好きな本好きのブログ

ネットはテレビをどう呑みこむのか? (アスキー新書 016)作者: 歌田明弘出版社/メーカー: アスキー発売日: 2007/06/09メディア: 新書購入: 2人 クリック: 15回この商品を含むブログ (18件) を見る

本書は週刊アスキーでの連載記事をまとめたものだ。そういう意味で週刊アスキーの歌田氏の連載を丁寧に読んでいる読者は、改めて買う必要は無いかも知れない。ただ、本書を上梓するにあたって、かなり加筆訂正を行ったという話も聞くので、連載以降の状況の変化を含め、本書は氏の論考をまとめて手元に置いて置きたい人向けなのだろう。

本書の内容は今せめぎ合っているテレビとインターネットの状況を概観し、わかりやすくまとめたものだ。インターネット側でのYoutubeの台頭、そしてテレビ側のデジタル放送でのコピーワンスの問題など、現在我々が目にする出来事の背景まで丁寧に解説している。そういう意味では、各種報道を補完するための情報源として、教養書的な意味合いの書籍かと思う。
なお、本書では最終章で最近話題の「ネットイナゴ」(本書ではそうは呼んでいないが)についても論考を加えている。私も2chを見て10年余の人間だが、確かに氏の分析には頷ける部分もある。これらの論考には連載ではあまり回数を割いていなかった部分でもあるが、次はぜひこの部分をより詳しく論じ、ネットポピュリズムについての深い分析を行って欲しい。