武蔵野読書生活

神保町と古書店、そしてうまいカレーが好きな本好きのブログ

もしも月がなかったら―ありえたかもしれない地球への10の旅

STARFLEET2007-05-21

もしも月がなかったら―ありえたかもしれない地球への10の旅

もしも月がなかったら―ありえたかもしれない地球への10の旅


宇宙科学分野の書籍、というと、ある人は難解な公式が満載の専門書を、また別の人は美しい写真集などを想像するかも知れない。
本書はそのどちらでもなく、いわゆる「もし、こうだったらどうだったか」というちょっとした疑問を思考実験で料理し、科学風味で味付けした書籍だ。ちなみに本書は故・タケキンこと竹内均氏が監修しており、その監修のおかげで翻訳書にありがちな堅さや誤訳も無く、非常に読みやすく仕上がっている。

内容は、表題の「地球に月の無い世界」の他に、「地球の自転軸が天王星のように横倒しになっている世界」「もしも月が地球近傍を公転していたら」などなど10通りのシチュエーションを、きちんとした科学知識の裏付けを元にシミュレートしている。
中高生レベルの科学思考の入門書としても非常に良いと思う。また、SFファンだったら、ある種のハードSFとして読むのも面白いと思う。