科学少年マインドが甦る!?「南極建築 1957-2016」を見てきました
今週のお題「ゴールデンウィーク2017」ということで、銀座LIXILギャラリーで開催中の「南極建築 1957-2016」を見に行ってきました。
遙か昔は「科学少年」として南極やら宇宙に思いを馳せたものでしたが、もはやそれも遠い昔の話になってしまいました。それいまでも今でも「宇宙」や「南極」という単語に反応してしまうわけで。聞いたところで写真撮影OKということで同展を紹介。
ちなみに手前側お隣のビルは警察博物館。イベント目当ての家族連れだけでなく、耳にイヤホン差したちょっとコワモテのスーツ姿の兄さんも。
地図はこちら↓
会場はギャラリーの2階、さっとみれば十数分で回れるくらいのミニ展示会ですが、南極好きなら一時間でも二時間でも見ていたい感じ。「宗谷」時代から新「しらせ」時代までの様々な写真や実際に使われた道具類、そして観測基地の変遷、世界各国の南極観測基地まで紹介されていて中身はかなり濃いので、南極好きにはホントおすすめデス。
「お約束」のペンギンと宗谷のツーショット。
南極メカといえば欠かせないのが雪上車ですよね。
「しらせ」がどうやって砕氷するかよくわかる動画も公開されてました。
モリナガ・ヨウさんミニ原画展も開催中(だった)
なお、ギャラリー1階では、「南極建築 1957-2016」ブックレットでイラストを描かれているモリナガ・ヨウさんのミニ原画展も開催中でした(5/9まで)。ワールドタンクミュージアムのトリセツ時代からのファンなので、とても楽しめました。
ちなみに「南極建築 1957-2016」ブックレットでのモリナガ・ヨウさんのイラストがどう描かれているか、展示でネタばらしされていてとても面白かったです。
ブックレットではこうなっているイラストは…
原画で見ると、イラスト部分とトレーシングペーパー上の書き文字で別に描かれていたんですね。
なお、この「南極建築 1957-2016」ブックレットは会場隣のブックギャラリーで購入できます。
このブックギャラリーですが、入り口はフツーの雑誌類が並んでいるだけなんですけど、奥に行くに従って建築や都市計画、建築史の専門書がずらりと勢揃いしており、その手の分野が好きな方にはビビビと来るようデス。
実はこのイベントの件をツイートしたらモリナガ・ヨウさんからリプライ頂きましたが、モリナガ・ヨウさんにも来るものがあったみたいですね。
@sf324929 ありがとうございます。あの本屋さんは、何というか錯乱状態になりますよね!
— モリナガ・ヨウ4/21〜5/9ミニ原画展 (@morinagayoh) 2017年5月5日
なお、「南極建築 1957-2016」は2017年5月27日まで、モリナガ・ヨウさんのミニ原画展は5月9日まで。
また「南極建築 1957-2016」ブックレットは、Amazon等でも販売されているのでそちらからも入手可能です。
■目次
各章見開きイラスト byモリナガ・ヨウ+写真&解説原稿
・南極へ、ようこそ
・南極建築 1957-2016
・昭和基地の建設
・日本初のプレファブ建築
・高床式の建築へ
・内陸基地への挑戦
・南極生活をより快適に
・自然エネルギーの活用
■論考
「昭和基地を設計した建築家・浅田孝」 笹原克 (地域計画プランナー、オイコス計画研究所代表取締役)
「スノードリフトとの付き合い」半貫敏夫 (日本大学名誉教授)
南極大工体験記(インタビュー)「創意工夫と臨機応変で愉しんだ」堀川秀昭 (ミサワホーム建設(株)大工職)
「南極で暮らすテクノロジー」石沢賢二(国立極地研究所極地工学グループ技術職員)
「世界の南極基地」白石和行(国立極地研究所所長、総合研究大学院大学教授)
※目次はLIXIL出版Webサイトより引用させて頂きました。
「復興支援」と「美味しんぼ」……東京国際ブックフェア 震災復興支援シンポジウム
先日まで東京ビッグサイトで開催されていた東京国際ブックフェア、その最終日7月5日に開催された震災復興シンポジウムを聴講する機会を得た。以下は当日取ったメモから再構成したもので、基本的には自分用備忘録という感じでのまとめのつもりだ。
なお、当日シンポジウムの録音・録画等は禁止されていたので、メモ時の聞き間違いや勘違い、抜け(途中メモが追いつかなかったので抜けが多々あります)についてその責任は全て私と言うことになります。
震災復興シンポジウムとは、小学館が2012年に刊行した震災復興支援マンガ『ヒーローズ・カムバック (ビッグ コミックス)』がどのような経緯で刊行されるに至ったかなどを、本書に参加したマンガ家によるトークセッション等を通じて公開する、というもの。「ギャラリーフェイク」や「伝染るんです」のファンであり、本書は懐かしさもあり購入していたが、その裏話も期待しつつ聴講した次第。本エントリ前段はシンポジウムでの登壇者発言要旨、後段は聴講して感じたことや例の「美味しんぼ」問題について感じたことを簡単にまとめています。
登壇者発言要旨●①細野不二彦さんの冒頭挨拶
石巻の視察した際、「何故ボクはここにいるんだろう」と感じ、ここにいる意味はなにかを考えてしまった。被災した東北のためのマンガを描かないと、と思って悶々としていたが、あるとき他のマンガ家さんがやっていたチャリティコミックと出会った。それをヒントにマンガ家の各雑誌の連載ワクを使い、そこで新作読み切りを描くアイデアが浮かんだ(2011年の暮れも押し詰まったころ)。
早速、高橋留美子、椎名高志両氏に根回しの上、小学館に提案した。当初は連載しつつ1年かけて単行本としてのチャリティコミックを作ろうと思った。小学館だけでなく、他の出版社にも声を掛け、何人かにOKを貰った。
(自分は)震災をテーマに読み切りを描いたが、その際、『歴史遺産を未来へ』(平川新著)や現地でボランティアをした編集者の体験を参考にした。
本書は作家が何がしかの貢献をすることができるひとつのモデルになったと思っている。また、(冒頭の自分自身からの問いに対して)何とか答えを出すことができたと思っている。
登壇者発言要旨●②トークセッション
細野さんの挨拶に続いてトークセッションが行われた。
出席者:藤田和日郎氏、吉田戦車氏、細野不二彦氏、小学館大島氏(パネリスト着席順)および司会者 ※以下、発言者名敬称略
『ヒーローズ・カムバック』表紙のとらは小さすぎる、かわうそとカッパくんは大きすぎる等、表紙について司会者からネタふりがあった。トークセッション開始早々、会場の雰囲気はいっそう和んだ感じに。
○藤田
『ヒーローズ・カムバック』について、細野さんから初期に声をかけられた。当時、震災発生で落ち込んでいた。何かやらなければ、でも何ができるんだろう…と悩んでいた。この話をもらって助かった。気持ちのカオス状態に出口をもらった。
○吉田
自分の作風はギャグ漫画であり、震災をギャグで表現できるか悩んだ。そこで震災そのものではない内容にした。
○藤田
雑誌にある自分の連載ワクを使うという点と、旧作を再利用するという点は助かった。掲載枠のない状態での新規書き下ろしはなかなか難しい。また、一度描いたことのあるキャラやストーリーであればマンガ家は描きやすい。さすがに細野さんはマンガ家の生理をよくわかっている。また、編集部もヒット作の再利用ならイヤな顔をしない(笑)。
○吉田
東電や政府への思いがあり、シイタケとセシウムネタで描きたかったが、歯にものがはさまった感じになってしまった。なお、『ヒーローズ・カムバック』について「うる星☆やつら」と「機動警察パトレイバー」が入っていればバイ売れたハズでは(笑)。
○細野
高橋留美子さんに打診した際に「うる星☆やつら」は自分の中で完結した存在なのでもう書かないと言われた。ゆうきさんに打診したけど『実はパトレイバーは権利がフクザツで…』と言われてダメだった。
これについてパネリストの補足情報を総合すると、当時スタートし始めたパトレイバー実写版の件が背景にあり、ゆうきさんがパトレイバー実写版制作開始を知らないとツイートした件と繋がるらしいとの話になっていた。なお、ゆうきさんは原稿が遅いがたまたま連載切り換えタイミングなのでよかったという話も。次に『3.11を忘れないためにヒーローズ・カムバック』を振り返って見て、との問いに対しての各氏から。
○藤田
今回、『ヒーローズ・カムバック』のプロジェクトの旗ふりを他人にまかせたのは反省している。
○吉田
寺田克也さんなどと一緒に被災地に行き、避難所を訪問して子供達と一緒に絵を絵を描くプロジェクトをやっている。岩手出身であり今後も継続して支援になるようなことを続けたい。
○細野
『ヒーローズ・カムバック』以外では、避難所へ本を送るプロジェクトを手がけた。これは自宅に大量にあった献本を使った。
○大島
『ヒーローズ・カムバック』で昔のキャラを描くことはどうだったのか?
○藤田
島本和彦さんは昔のキャラは連載が終わったら作家の中にはもういないと言っていた(つまり描けなくなると言う意味)。そういう意味でそれに対するチャレンジだった。島本さんが本書で「サイボーグ009」で他人のキャラ描いているのはずるいと思った。
細野さんより、こちらから島本さんに『ヒーローズ・カムバック』では「サイボーグ009」を描いたらと打診した、との発言あり。
○吉田
かっぱくんやかわうそは大丈夫だったが、サイトーさんはもう動かなかった。
(司会者からマンガに出てくるキャラが次々絶滅危惧種になっているとの問いに)全部カッパだと思えばイイと思ってます。
○大島
がわぐちかいじ氏から「マンガ家がマンガを描ける話を持ってきてくれてたりがとう」と言われた
(細野氏に対して)「グーグンガンモ」はまだ(細野さんの中に)いるのか?
○細野
まだ描ける(笑)。さらにドッキリドクターも描ける。
○藤田
本件の依頼で細野さんが仕事場にお願いに来たのか感動した。
○細野
実は最初、高橋留美子さんには電話だけ依頼したが、さすがに後で「これはまずい」と思って菓子折持って挨拶に行った(笑)。
最後に司会者から今後はどう活動するのかとの問いに対して。
○藤田
(支援は)継続しないといけない。とにかく自分の無力を自覚した。
今後も描きつづけなぃといけないと思っている。
○吉田
東北に縁が深く、被災した人の気持ちは忘れないようにしたい。
〇細野
今後は未定。ただ、震災をきっかけに日本人が変わったと思っているので描き続けたい。
●感想
東日本大震災発生時、マンガ家だけでなく多くのクリエイターが被災地を遠く離れた場所で自分は何しているのか、今後何が出来るのかなど悩んだと聞く。それに対する一つの答えとして本書は有意義だったということは興味深かった。表現者が表現したくても方向性を見失っていた時に、このような企画を生み出した細野さんは素晴らしいと感じた。
また、震災復興支援というテーマでありつつも、震災そのものを対象にしていないマンガが掲載されていた件について、今回疑問が氷解したのは個人的には大きな収穫だった。
なお、小学館とビックコミックスピリッツと言えば先だっての「美味しんぼ」問題が記憶に新しい。今回のトークセッションではその件は触れられなかったし、シンポジウム自体に聴講者からの質問コーナーがなかった。つまり今回のシンポジウムでは「美味しんぼ」について一切言及がなかった。
小学館やスピリッツ編集部には社会派的な意味で「問題意識」があるのだろうと私は思っている。娯楽媒体であってもそのような意識は重要な要素だと思う。むろん商業的な部分との折り合いの元で、という前提だろうけど。
それが良く出たのがこの『ヒーローズ・カムバック』プロジェクトなのではないかと思う。ただ、時折、実証的な認識や客観的な検証で弱い部分があるなと感じることもあり、今回「問題意識」だけが先行した結果が「美味しんぼ」問題だったのでは…と感じた次第だ。
以下、余談
細野さんのお顔を数十年ぶりに拝見した(大昔のアニメ誌で見た記憶があるが、生でのは今回初めて)けど、企業の総務部に居そうな謹厳実直そうな老境にさしかかったサラリーマン的な風貌で、私が中学生だった「さすがの猿飛」の頃から長期間バリバリ一線で活躍していることを思えば、もはやそのような年齢となるのも当然かとも感じた。とまれ風貌からは『電波の城』のような、人の心の内面をえぐり出す激しい作風を生み出すように一見見えないギャップが私の中ではとても面白かった。
元祖レトロフューチャー「小松崎茂の世界」を堪能
先日、所用で出かけた際にちょいと銀座まで足を伸ばし展覧会を見てきた。
「小松崎茂 幻の超兵器図解 復刻グラフィック展」というヤツだ。
「小松崎茂」と言っても最近の若い人達は知らんだろうけど、40代後半以上のオッサンには今は無きプラモメーカーイマイのサンダーバードの箱絵や子供の妄想をかき立てる魅惑的な未来予想図(時には絶望的な滅亡地獄絵図も描いていたけど)でおなじみの画家さんだ。
空想科学イラストの旗手、小松崎茂のボックスアート作品いろいろ - DNA
その小松崎氏も亡くなられてからもはや15年ちかく経ってしまった。氏は第二次世界大戦の頃から挿絵画家として活躍し、児童向け絵物語の挿絵等を手がけていたが、将来登場するであろう超兵器の臨場感溢れるイラストが大人気だった。
今回の「小松崎茂 幻の超兵器図解 復刻グラフィック展」では、『機械化』という雑誌に掲載された超兵器のイラスト多数を集めて展示していた。『機械化』は第二時世界大戦頃に日本で刊行されていた科学雑誌だ。当時は科学雑誌と言えば各種兵器を記事として取り上げるのが一般的だった。今で例えれば『ニュートン』の特集に『中国空母「遼寧」の実力』と言った現用兵器モノがあり、さらに連載記事に『戦場も無人化!?無敵ロボット兵団大進撃』という感じで近未来兵器が毎回紹介されているようなもんかも。
ただ、会場には兵器を描きつつも搭乗している兵士が銃火にのけぞっている絵もあった。当然、時節柄、のけぞっている人物は白人らしき姿形をしているのだが、児童向けと言えども戦争の悲惨さも描き込んでいるあたりに氏の思いが何かしらあったのだろう。
ちなみに我が家には、祖父や父の遺品で戦前、戦中の雑誌が残されている。当時このような未来兵器ものは読者に好まれていたようで頻繁に様々年齢層の雑誌で取り上げられていたようだ。
下の画像は昭和8年の少年倶楽部付録の「特集未来戦」に掲載されていたもの。昭和初期に「テレビジョン」という用語が一般向け雑誌で特に解説もなしにさらっと使われているあたりが驚きだった。
ちなみに会場では図録は特に販売されていなかったが、記念ということで小冊子『國防雑誌『機械化』の時代』が販売されているので買ってきた。ちなみに上で紹介した「特集未来戦」への言及があり、日本における地底戦車に関する言及はこの「特集未来戦」を嚆矢とするのだそうだ。「特集未来戦」は貴重な歴史資料として大事にとってあるが、そういう意味でもエポックメイキングな存在だったとはますます興味深い。できればきちんと研究してみたい。
さて、会場だけど、場所は銀座の表通りからちょっと入った小道沿いのおしゃれな画廊。入り口がカフェになっていて、丸い看板が目印(下の写真参照)。カフェを通り抜けエレベータで三階にあがればOKだ。なお、この「小松崎茂 幻の超兵器図解 復刻グラフィック展」は6月28日(土)までなので興味のある人はぜひ。
チーパズギャラリー
タルタルソースのイベントが実は破天荒で面白かった
先日、前職でお世話になった著者さんのタルタルソース試食会兼不惑記念パーティに行った。
会費制で非常にこじんまりとした会でしたが、著者さんの得意分野であるタルタルソースを参加者皆で賞味しつつ、和気藹々と数時間盛り上がったいい催しだった。
面白かったのが、著者さんの半生を赤裸々に語るコーナー。まあ、普通言わんだろうというようなぶっちゃけネタにまで及び、著者さんがいつもは何かとUSTREAMで中継しているのにその日だけしなかった理由がよくわかったw
誰でも参加できる催しで、あそこまで自分の人生を公開できる個人事業者というか個人はなかなか居ない。
仕事柄、様々な著者さんや同業の編集者と会うことが多いけど、私も含めて何かと身構えているのが普通だ。
しかしこの著者さんはあえてさらけ出しつつさらに前に進もうとしている。
とまれ退職し今後の人生、どう進もうか悩んでいる身としては何かと参考になったり、思わぬ元気を貰ったイベントだった。
これからもよしなに。
※土産でもらったタルタルソース
ムラサメ型巡洋艦の命名規則を考える
「宇宙戦艦ヤマト2199」、何度見てもいいですねえ。映画館で買ったBD、すり減るくらい(比喩)毎週というか隔日くらいで見てマス。
で、今回のヤマト世界観の特徴は、ミリタリーテイストによりリアリティを持ち込んだ。
海上自衛隊の階級や用語を参考とし、艦名は海上自衛隊や旧日本海軍風に艦体に記載、ドラマに用いられる各種用語を海自・旧海軍風にするなど、随所に見られる細やかな設定がミリオタやSFオタには嬉しい。
ただ、ミリオタ的に気になるのが宇宙巡洋艦ムラサメ型の命名規則だ。
このムラサメ型巡洋艦に関するWikipediaの記述によると、
第1話では、第一艦隊にムラサメの他に同型艦として「ゆうぎり(識別番号CAS-253)」、「あぶくま(識別番号CAS-229)」、「やくも(識別番号CAS-890)」、「あたご(識別番号CAS-229)」、「つるぎ(識別番号CAS-777)」、「くらま」又は「いぶき(識別番号CAS-741)」、「なち(識別番号CAS-702)」が配備されており、「ムラサメ」を含めて合計8隻登場している[2]。
とあり、途中で艦の命名規則が変更されていることが明らかだ。
つまりどういうことかというと、
天象気象……旧日本海軍や海上自衛隊では駆逐艦や小型護衛艦に用いる
→村雨・むらさめ、夕霧・ゆうぎり、八雲
※ただし旧日本海軍では「八雲」は明治時代の装甲巡洋艦の名称として用いられている。
河川名……旧日本海軍では二等巡洋艦(軽巡洋艦)、海上自衛隊では地方隊配備の小型護衛艦に命名
→阿武隈/あぶくま
山岳名……旧日本海軍では冷酷な一等巡洋艦あるいは巡洋戦艦 、海上自衛隊ではイージス艦など大型の護衛艦に用いる名称
ただし「つるぎ」は海自艦艇では用いられておらず、現時点では海上保安庁の警備船艇の名称として用いられている。
→愛宕/あたご、つるぎ、鞍馬/くらま(伊吹)、那智
このようにムラサメ型宇宙巡洋艦は無原則(失礼!)に命名されていることがお分かりだろう。ミリオタ的には「巡洋艦」と名乗っているからには、先例に従って山とか川の名称で統一してくれ、って気持ちになるわけだ。
今回の宇宙戦艦ヤマト2199は、海上自衛隊に取材し、用語等もそれに合わせたりしているくらいなので、スタッフも決してわかっていないワケではなさそう。
余計、艦名のバラバラさ加減はミリオタとしてはまったく腑に落ちないワケなんだよね。
しかるにヤマト2199の第一話には実は「原作」があることを思えば、このカオスな状況はなんとなく理解できてくるのであります。
今を去ること12年前、バンダイからプレステ用ゲーム「宇宙戦艦ヤマト遥かなるイスカンダル」というゲームがリリースされたが、そのタイミングで宇宙戦艦ヤマトのコミックアンソロジーというものが刊行されている。その中の巻頭第一話「会戦」を今回のヤマト2199コミック担当のむらかわみちお氏が描いている。読み返して見ると、そこで登場する艦名は今回のヤマト2199第一話で登場する艦名と一致するわけだ。
まったくの推測だが、むらかわ氏は軍艦の命名規則に頓着せず登場する艦名を決めたのではないかと想像でしている(事実と異なって居たら申し訳ない)。
さらにネット情報を見ると、むらかわ氏とヤマト総監督の出渕氏は友人とのこともあり、出渕氏は敢えてそれらを理解した上で、リスペクトとして混乱した艦名を今回も登場させているのではないかと思う次第なんだよね(想像ですよ、想像)。
ヤマト2199世界の中で整合性が高い妄想を許されるとすれば、当初ムラサメ型は宇宙巡洋艦としてではなく、戦艦を補助する量産型の艦艇として建造が開始された。しかし、機構の複雑さによる量産性の低さや各種兵装の費用が高額となり、別途イソカゼ型宇宙駆逐艦を整備することが決まり、駆逐艦から巡洋艦に艦種が整備計画の途中で変更されたのかもしれない。
ちなみに艦体に記載されている艦名はひらがななのに、艦名表記の字幕はカタカナなのは、番組名の「ヤマト」がカタカナなのと整合性を取るためなのではないかと推測。まあ、妄想レベルではありますがw
などと妄想しながら今日もヤマト2199のBDを見て疲れを癒すのでありましたw
吊りこそ日本の伝統芸……館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技
「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」1万人の事前招待会に行ってきたけど、あの庵野館長の特撮愛のすごさに圧倒された3時間でありました。
前半、過去の特撮番組のプロップの展示があり、その後で『巨神兵 東京に現る』の上映という構成なんだけど、普通の展示会ならそこらでオワリだと思うワケです。
私は最初、そう思った(スンマセン)。
『巨神兵 東京に現る』も、あの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』や『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』で多大なる特撮へのオマージュを見せたアンノ作品にしてはアッサリ気味。正直なトコロ、かなり物足りないな…という感想だったワケです。
ちなみにスタッフロールのところに「巨神兵 宮崎駿」って書いてあって、あの宮サン(未来少年コナンからのファンなのでそう呼ばせて欲しい)が、庵野カントクの『帰ってきたウルトラマン』のごとく、本人顔出し普段の服装のまま火を吐きながら汚辱と虚飾に塗れた魔都東京を破壊するのか……と妄想してみたりw
アンノ版『帰ってきたウルトラマン』予告編。残念ながらここに件のウルトラマンは登場していない……
ところがこの展覧会はそこからホンバン。
実は『巨神兵 東京に現る』の上映の後にこそ、特撮ネタばらしのメイキング映像やセット再現、オプチカル合成の仕組みを再現したセットなど様々な展示がてんこもり。特撮ファンには感涙の王道楽土が待っていたわけであります(ちょっと『うる星やつら』メガネ風興奮口調w)。
おまけに撮影セット(再現)に入り込んで撮影できる展示もあり、まさにサービス満点だったわけであります。
手前のミニチュアの四畳半セットから市街地までをセットに組んだものを見せる展示(HDR撮影)。市街地のセットには入り込めるので、記念撮影をしている人も多数。
東京市街地のセット(HDR)。ちょっと不機嫌そうな樋口真嗣氏がお茶目(笑)。
後半のメイキング映像見るとわかるんだけど、『巨神兵 東京に現る』は現代日本の特撮の「技(ワザ)のデパート」というか集大成で、現在の特撮職人のもてるモノすべてを凝縮したデモンストレーション映像なんですよね。なので、本編とメイキング、さらに展示もすべて見てはじめて日本の特撮技術の粋を味わうことができるというワケなのであります。あの原子雲すら綿と吊りで作成するとはまさに驚きの日本特撮なのであります。
さらに図録も読み応えあり。
図録はお値段2700円と高価なんだけど、展覧会本編と『巨神兵 東京に現る』パンフレットの二分冊なんだよね。
たぶん、図録本編が2000円で『巨神兵 東京に現る』が700円。買ったときはなんて高いんだ!とちと貧乏な私にはいろいろ怒りがあったのですが、帰宅して開封して怒りも雲散霧消。いやあ、本編よりパンフの方が何倍も面白いんですよ。撮影裏話、特撮ギミックの詳解と、特撮の図解入門書でした。もちろん、本編も読み応えがあるし、資料的な価値も高いのでオススメですがw
ちなみにパンフによると『巨神兵 東京に現る』本編に出てくる中央線の電車、なんか銀座線くさいwと思ったら実は『ガメラ3 邪神覚醒』で使った車両だったらしい。そこらの話も沢山載っていてまさに買いです。
ということで特撮ファンにはホント、オススメのイベントです。
諸星大二郎氏のご尊顔
最近知ったのだが、諸星大二郎氏のお名前は「モロホシダイジロウ」なのだそうだ。
ずーっと「モロボシ」だと思っていたのだが、どうやら違うらしい。てか何かの作品内で「モロボシ」って見たような気がするんだけど勘違いだったのかもしれない。
最近、河出書房新社の『文藝』別冊を立て続けに入手している。先日は小松左京追悼本だったが、今度は諸星大二郎特集だ。
私が最初に諸星氏のマンガと明確に認識したのは、小学生時代に手塚賞を受賞した怪作「生物都市」を読んだときだ。単行本の巻末でその話を読んだときは、現実と虚構の区別があいまいな年代ゆえに、なにか底知れない恐怖を感じたことを思えている。
以来、氏のマンガを読み続けてウン十年。本書で初めてご尊顔を拝見し、一見学者風の穏やかな風貌の中に、あの膨大な知識と日常の薄皮を剥いでしまう感性を隠しているのかなどと思った次第。これからもますますの活躍を願うばかり。