武蔵野読書生活

神保町と古書店、そしてうまいカレーが好きな本好きのブログ

吊りこそ日本の伝統芸……館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技

「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」1万人の事前招待会に行ってきたけど、あの庵野館長の特撮愛のすごさに圧倒された3時間でありました。

前半、過去の特撮番組のプロップの展示があり、その後で『巨神兵 東京に現る』の上映という構成なんだけど、普通の展示会ならそこらでオワリだと思うワケです。
私は最初、そう思った(スンマセン)。
巨神兵 東京に現る』も、あの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』や『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』で多大なる特撮へのオマージュを見せたアンノ作品にしてはアッサリ気味。正直なトコロ、かなり物足りないな…という感想だったワケです。

ちなみにスタッフロールのところに「巨神兵 宮崎駿」って書いてあって、あの宮サン(未来少年コナンからのファンなのでそう呼ばせて欲しい)が、庵野カントクの『帰ってきたウルトラマン』のごとく、本人顔出し普段の服装のまま火を吐きながら汚辱と虚飾に塗れた魔都東京を破壊するのか……と妄想してみたりw


アンノ版『帰ってきたウルトラマン』予告編。残念ながらここに件のウルトラマンは登場していない……

ところがこの展覧会はそこからホンバン。

実は『巨神兵 東京に現る』の上映の後にこそ、特撮ネタばらしのメイキング映像やセット再現、オプチカル合成の仕組みを再現したセットなど様々な展示がてんこもり。特撮ファンには感涙の王道楽土が待っていたわけであります(ちょっと『うる星やつら』メガネ風興奮口調w)。
おまけに撮影セット(再現)に入り込んで撮影できる展示もあり、まさにサービス満点だったわけであります。

手前のミニチュアの四畳半セットから市街地までをセットに組んだものを見せる展示(HDR撮影)。市街地のセットには入り込めるので、記念撮影をしている人も多数。


東京市街地のセット(HDR)。ちょっと不機嫌そうな樋口真嗣氏がお茶目(笑)。

後半のメイキング映像見るとわかるんだけど、『巨神兵 東京に現る』は現代日本の特撮の「技(ワザ)のデパート」というか集大成で、現在の特撮職人のもてるモノすべてを凝縮したデモンストレーション映像なんですよね。なので、本編とメイキング、さらに展示もすべて見てはじめて日本の特撮技術の粋を味わうことができるというワケなのであります。あの原子雲すら綿と吊りで作成するとはまさに驚きの日本特撮なのであります。

さらに図録も読み応えあり。

図録はお値段2700円と高価なんだけど、展覧会本編と『巨神兵 東京に現る』パンフレットの二分冊なんだよね。
たぶん、図録本編が2000円で『巨神兵 東京に現る』が700円。買ったときはなんて高いんだ!とちと貧乏な私にはいろいろ怒りがあったのですが、帰宅して開封して怒りも雲散霧消。いやあ、本編よりパンフの方が何倍も面白いんですよ。撮影裏話、特撮ギミックの詳解と、特撮の図解入門書でした。もちろん、本編も読み応えがあるし、資料的な価値も高いのでオススメですがw

ちなみにパンフによると『巨神兵 東京に現る』本編に出てくる中央線の電車、なんか銀座線くさいwと思ったら実は『ガメラ3 邪神覚醒』で使った車両だったらしい。そこらの話も沢山載っていてまさに買いです。

ということで特撮ファンにはホント、オススメのイベントです。


当日購入したFigma巨神兵で『巨神兵東京に現る』風に撮影してみた。