武蔵野読書生活

神保町と古書店、そしてうまいカレーが好きな本好きのブログ

小松左京氏の思い出

いささか旧聞に属するが先頃小松左京氏が逝去された。日本SF界の巨人として数々の作品を我々に読ませてくれた巨人がいなくなった空白感は、私のような末端のSFファンであっても一抹の寂しさを感じるわけだ。
ちなみに「小松左京氏との思い出」とあるが、残念ながら直接お会いしたことはないので、その手のエピソードを期待されている方には申し訳ない。

私が物心ついた頃、世間を騒がしていたのはアポロ計画と大阪万博だった(明るい話題では、ということだが)。当時は高度経済成長の爛熟期に入りつつあり、サイケやサブカルチャーなど何気に退廃的な文化(と幼心に感じた)も姿を見せつつあったが、未だ科学万能信仰的なものが良くも悪くも人々の間に蔓延していたような気もするんだよね。

テレビでは子供向けに宇宙モノや未来モノが頻繁に放映されていた覚えが。なかでもNHK人形劇「空中都市008」は幼児だった私のお気に入りの番組、毎回食い入るように見ていた覚えがある(話の内容はまったく記憶にないがw)。そして未だ白黒だった実家のテレビから流れる映像は、頻繁に放映されるアポロ計画のニュースと混濁し、現実とも架空とも付かない話として私の中で受け止められていたんだよね。
ちなみにこの作品の原作は小松左京氏で、周知のように小松氏は大阪万博にも関与されており、私が当時目にする様々な情報に多くの影響を与えていたことを後に知ることになるわけだ。

ということで、私が今SFファンだの宇宙機ファンだのになったのは小松氏の影響なのだな…ということを改めてかみしめている次第。

合掌