武蔵野読書生活

神保町と古書店、そしてうまいカレーが好きな本好きのブログ

テルマエ・ロマエ、風呂に入ってから読むか読んでから入るかw

日本人は風呂好き(断言)。しかしそれに負けず劣らずお風呂好き好き民族がローマ人だったとか。今のイタリア人を見ていると(個人的に友人が居るわけではないが)あまりピンと来ないが、ローマ人の風呂好きはかなりのものだったらしい。イタリアも火山国で温泉が多数ある、というのも背景なのだろうが、ローマ風呂に凝らされた数々の技巧や装飾は相当なものだったらしい。そんな風呂好きローマ人を主人公にしたコミック、『テルマエ・ロマエ』が売れている。広告のアオリ文句によると累計130万部とか。日本人は風呂が好きだが風呂漫画も好きだと言うことか。ちなみに第2巻は明日9/25発売だ。

さて、あらすじ(第1巻)はこんな感じ。

ローマ建国から800年、文化的に爛熟期を迎えたハドリアヌス帝治世のAD128年。主人公で建築技師ルシウスは、デザインの古さから建築事務所をリストラされてしまった。愚痴を言いつつ家路についていたが途中で友人マルクスに出会い、気分転換に風呂に誘われる。二人で向かった先が公衆浴場。そこでルシウスは浴槽の中に口を開けていた不思議な穴に吸い込まれ、穴の先には平たい顔をした謎の民族(第1巻の帯にも書いてあるとおり日本人だけど)が集まる浴場だった。軽くて丈夫な桶、壁に極彩色で描かれた火山を描いた風景画、そして腰に手を当てて飲む冷えた乳製品などルシウスには刺激的な世界が広がっていた…

というお話で基本形式は昔話の異世界物みたいな展開、主人公ルシウスの暮らすローマ帝国と、毎回風呂の向こうに広がる平たい顔族とその異世界文明とのギャップが楽しいコミックだ。疲れているときでも気軽に読めるのがイイ。シャンプーハットをルシウスが王冠だと思い、被ったじいさんを「(平たい顔族の)族長なのか!?」と勘違いしたりとあちらこちらに作者ヤマザキマリ流のギャグがちりばめられているのがまたイイ。

ちなみに古代ローマの街並みや建造物について知りたいのなら下記左の本がビジュアルでお勧め。ローマの著名建造物を、現在の姿と建立当時のCGを並べてビジュアルに構成してあり、主人公ルシウスが暮らしていたローマの街頭の雰囲気を居ながらにして楽しめる。右の書籍は、紀元115年の古代ローマ全盛時代のある1日を、時間の流れに沿って克明に再現している。ローマ市民の起床から食事、裁判や処刑、宴会やコロシアム、トイレや公衆浴場などを詳しく解説している。まさにルシウスの生活を追体験することができる名著だ。

また、本格的にローマ史を通読したいのなら塩野七生さんの一連の著作がお勧めだろう。『ローマ人の物語 賢帝の世紀』(中)に取り上げられているハドリアヌス帝がルシウスの活躍した時代だ。

異民族に対する戦争、男色家とも言われる皇帝の日常生活などが血肉が通う様に活写されている。ローマに興味をもった人にはこの「ローマ人の物語」シリーズはまさにお勧めだ。