武蔵野読書生活

神保町と古書店、そしてうまいカレーが好きな本好きのブログ

タルタルソースのイベントが実は破天荒で面白かった

先日、前職でお世話になった著者さんのタルタルソース試食会兼不惑記念パーティに行った。

会費制で非常にこじんまりとした会でしたが、著者さんの得意分野であるタルタルソースを参加者皆で賞味しつつ、和気藹々と数時間盛り上がったいい催しだった。

面白かったのが、著者さんの半生を赤裸々に語るコーナー。まあ、普通言わんだろうというようなぶっちゃけネタにまで及び、著者さんがいつもは何かとUSTREAMで中継しているのにその日だけしなかった理由がよくわかったw

誰でも参加できる催しで、あそこまで自分の人生を公開できる個人事業者というか個人はなかなか居ない。

仕事柄、様々な著者さんや同業の編集者と会うことが多いけど、私も含めて何かと身構えているのが普通だ。

しかしこの著者さんはあえてさらけ出しつつさらに前に進もうとしている。

とまれ退職し今後の人生、どう進もうか悩んでいる身としては何かと参考になったり、思わぬ元気を貰ったイベントだった。

これからもよしなに。

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※土産でもらったタルタルソース

 

 

 

 

 

ムラサメ型巡洋艦の命名規則を考える

宇宙戦艦ヤマト2199」、何度見てもいいですねえ。映画館で買ったBD、すり減るくらい(比喩)毎週というか隔日くらいで見てマス。

で、今回のヤマト世界観の特徴は、ミリタリーテイストによりリアリティを持ち込んだ。
海上自衛隊の階級や用語を参考とし、艦名は海上自衛隊や旧日本海軍風に艦体に記載、ドラマに用いられる各種用語を海自・旧海軍風にするなど、随所に見られる細やかな設定がミリオタやSFオタには嬉しい。

ただ、ミリオタ的に気になるのが宇宙巡洋艦ムラサメ型の命名規則だ。
このムラサメ型巡洋艦に関するWikipediaの記述によると、

第1話では、第一艦隊にムラサメの他に同型艦として「ゆうぎり(識別番号CAS-253)」、「あぶくま(識別番号CAS-229)」、「やくも(識別番号CAS-890)」、「あたご(識別番号CAS-229)」、「つるぎ(識別番号CAS-777)」、「くらま」又は「いぶき(識別番号CAS-741)」、「なち(識別番号CAS-702)」が配備されており、「ムラサメ」を含めて合計8隻登場している[2]。

とあり、途中で艦の命名規則が変更されていることが明らかだ。
つまりどういうことかというと、


天象気象……旧日本海軍や海上自衛隊では駆逐艦や小型護衛艦に用いる
村雨むらさめ夕霧ゆうぎり八雲
※ただし旧日本海軍では「八雲」は明治時代の装甲巡洋艦の名称として用いられている。

河川名……旧日本海軍では二等巡洋艦(軽巡洋艦)、海上自衛隊では地方隊配備の小型護衛艦に命名
阿武隈あぶくま

山岳名……旧日本海軍では冷酷な一等巡洋艦あるいは巡洋戦艦 、海上自衛隊ではイージス艦など大型の護衛艦に用いる名称
ただし「つるぎ」は海自艦艇では用いられておらず、現時点では海上保安庁の警備船艇の名称として用いられている。
愛宕あたごつるぎ鞍馬くらま伊吹)、那智


このようにムラサメ型宇宙巡洋艦無原則(失礼!)に命名されていることがお分かりだろう。ミリオタ的には「巡洋艦」と名乗っているからには、先例に従って山とか川の名称で統一してくれ、って気持ちになるわけだ。
今回の宇宙戦艦ヤマト2199は、海上自衛隊に取材し、用語等もそれに合わせたりしているくらいなので、スタッフも決してわかっていないワケではなさそう。
余計、艦名のバラバラさ加減はミリオタとしてはまったく腑に落ちないワケなんだよね。


しかるにヤマト2199の第一話には実は「原作」があることを思えば、このカオスな状況はなんとなく理解できてくるのであります。
今を去ること12年前、バンダイからプレステ用ゲーム「宇宙戦艦ヤマト遥かなるイスカンダル」というゲームがリリースされたが、そのタイミングで宇宙戦艦ヤマトのコミックアンソロジーというものが刊行されている。その中の巻頭第一話「会戦」を今回のヤマト2199コミック担当のむらかわみちお氏が描いている。読み返して見ると、そこで登場する艦名は今回のヤマト2199第一話で登場する艦名と一致するわけだ。

まったくの推測だが、むらかわ氏は軍艦の命名規則に頓着せず登場する艦名を決めたのではないかと想像でしている(事実と異なって居たら申し訳ない)。
さらにネット情報を見ると、むらかわ氏とヤマト総監督の出渕氏は友人とのこともあり、出渕氏は敢えてそれらを理解した上で、リスペクトとして混乱した艦名を今回も登場させているのではないかと思う次第なんだよね(想像ですよ、想像)。

ヤマト2199世界の中で整合性が高い妄想を許されるとすれば、当初ムラサメ型は宇宙巡洋艦としてではなく、戦艦を補助する量産型の艦艇として建造が開始された。しかし、機構の複雑さによる量産性の低さや各種兵装の費用が高額となり、別途イソカゼ型宇宙駆逐艦を整備することが決まり、駆逐艦から巡洋艦艦種が整備計画の途中で変更されたのかもしれない。

ちなみに艦体に記載されている艦名はひらがななのに、艦名表記の字幕はカタカナなのは、番組名の「ヤマト」がカタカナなのと整合性を取るためなのではないかと推測。まあ、妄想レベルではありますがw

などと妄想しながら今日もヤマト2199のBDを見て疲れを癒すのでありましたw

吊りこそ日本の伝統芸……館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技

「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」1万人の事前招待会に行ってきたけど、あの庵野館長の特撮愛のすごさに圧倒された3時間でありました。

前半、過去の特撮番組のプロップの展示があり、その後で『巨神兵 東京に現る』の上映という構成なんだけど、普通の展示会ならそこらでオワリだと思うワケです。
私は最初、そう思った(スンマセン)。
巨神兵 東京に現る』も、あの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』や『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』で多大なる特撮へのオマージュを見せたアンノ作品にしてはアッサリ気味。正直なトコロ、かなり物足りないな…という感想だったワケです。

ちなみにスタッフロールのところに「巨神兵 宮崎駿」って書いてあって、あの宮サン(未来少年コナンからのファンなのでそう呼ばせて欲しい)が、庵野カントクの『帰ってきたウルトラマン』のごとく、本人顔出し普段の服装のまま火を吐きながら汚辱と虚飾に塗れた魔都東京を破壊するのか……と妄想してみたりw


アンノ版『帰ってきたウルトラマン』予告編。残念ながらここに件のウルトラマンは登場していない……

ところがこの展覧会はそこからホンバン。

実は『巨神兵 東京に現る』の上映の後にこそ、特撮ネタばらしのメイキング映像やセット再現、オプチカル合成の仕組みを再現したセットなど様々な展示がてんこもり。特撮ファンには感涙の王道楽土が待っていたわけであります(ちょっと『うる星やつら』メガネ風興奮口調w)。
おまけに撮影セット(再現)に入り込んで撮影できる展示もあり、まさにサービス満点だったわけであります。

手前のミニチュアの四畳半セットから市街地までをセットに組んだものを見せる展示(HDR撮影)。市街地のセットには入り込めるので、記念撮影をしている人も多数。


東京市街地のセット(HDR)。ちょっと不機嫌そうな樋口真嗣氏がお茶目(笑)。

後半のメイキング映像見るとわかるんだけど、『巨神兵 東京に現る』は現代日本の特撮の「技(ワザ)のデパート」というか集大成で、現在の特撮職人のもてるモノすべてを凝縮したデモンストレーション映像なんですよね。なので、本編とメイキング、さらに展示もすべて見てはじめて日本の特撮技術の粋を味わうことができるというワケなのであります。あの原子雲すら綿と吊りで作成するとはまさに驚きの日本特撮なのであります。

さらに図録も読み応えあり。

図録はお値段2700円と高価なんだけど、展覧会本編と『巨神兵 東京に現る』パンフレットの二分冊なんだよね。
たぶん、図録本編が2000円で『巨神兵 東京に現る』が700円。買ったときはなんて高いんだ!とちと貧乏な私にはいろいろ怒りがあったのですが、帰宅して開封して怒りも雲散霧消。いやあ、本編よりパンフの方が何倍も面白いんですよ。撮影裏話、特撮ギミックの詳解と、特撮の図解入門書でした。もちろん、本編も読み応えがあるし、資料的な価値も高いのでオススメですがw

ちなみにパンフによると『巨神兵 東京に現る』本編に出てくる中央線の電車、なんか銀座線くさいwと思ったら実は『ガメラ3 邪神覚醒』で使った車両だったらしい。そこらの話も沢山載っていてまさに買いです。

ということで特撮ファンにはホント、オススメのイベントです。


当日購入したFigma巨神兵で『巨神兵東京に現る』風に撮影してみた。

諸星大二郎氏のご尊顔

最近知ったのだが、諸星大二郎氏のお名前は「モロホシダイジロウ」なのだそうだ。
ずーっと「モロボシ」だと思っていたのだが、どうやら違うらしい。てか何かの作品内で「モロボシ」って見たような気がするんだけど勘違いだったのかもしれない。

最近、河出書房新社の『文藝』別冊を立て続けに入手している。先日は小松左京追悼本だったが、今度は諸星大二郎特集だ。

私が最初に諸星氏のマンガと明確に認識したのは、小学生時代に手塚賞を受賞した怪作「生物都市」を読んだときだ。単行本の巻末でその話を読んだときは、現実と虚構の区別があいまいな年代ゆえに、なにか底知れない恐怖を感じたことを思えている。
以来、氏のマンガを読み続けてウン十年。本書で初めてご尊顔を拝見し、一見学者風の穏やかな風貌の中に、あの膨大な知識と日常の薄皮を剥いでしまう感性を隠しているのかなどと思った次第。これからもますますの活躍を願うばかり。

小松左京氏の思い出

いささか旧聞に属するが先頃小松左京氏が逝去された。日本SF界の巨人として数々の作品を我々に読ませてくれた巨人がいなくなった空白感は、私のような末端のSFファンであっても一抹の寂しさを感じるわけだ。
ちなみに「小松左京氏との思い出」とあるが、残念ながら直接お会いしたことはないので、その手のエピソードを期待されている方には申し訳ない。

私が物心ついた頃、世間を騒がしていたのはアポロ計画と大阪万博だった(明るい話題では、ということだが)。当時は高度経済成長の爛熟期に入りつつあり、サイケやサブカルチャーなど何気に退廃的な文化(と幼心に感じた)も姿を見せつつあったが、未だ科学万能信仰的なものが良くも悪くも人々の間に蔓延していたような気もするんだよね。

テレビでは子供向けに宇宙モノや未来モノが頻繁に放映されていた覚えが。なかでもNHK人形劇「空中都市008」は幼児だった私のお気に入りの番組、毎回食い入るように見ていた覚えがある(話の内容はまったく記憶にないがw)。そして未だ白黒だった実家のテレビから流れる映像は、頻繁に放映されるアポロ計画のニュースと混濁し、現実とも架空とも付かない話として私の中で受け止められていたんだよね。
ちなみにこの作品の原作は小松左京氏で、周知のように小松氏は大阪万博にも関与されており、私が当時目にする様々な情報に多くの影響を与えていたことを後に知ることになるわけだ。

ということで、私が今SFファンだの宇宙機ファンだのになったのは小松氏の影響なのだな…ということを改めてかみしめている次第。

合掌

東北新幹線車内での線量値測定

先日、東北新幹線に乗車した際にiPad+ポケットガイガーで測定した線量値をpachubeで表示させたグラフだ。車内のテーブル上にポケットガイガーを上向きで設置し降車時まで放置して測定した。
ちなみに東京から一関まで東北新幹線を利用、一関からは東北本線(在来線)に乗り換えている。素人の簡易測定、かつ高架やトンネルが多く遮蔽された車内での測定ということで、線量値はあくまでも多寡の程度を知ることができるレベル、と考えて頂きたい。

モバイルでの線量計データをインターネット経由で全世界に公開する

先日、廉価版線量計のタンジブルデザイン製「ポケットガイガーKIT for iPhone」を入手した。価格は3500円でこの手の線量計としては破格の安さだ。ちなみに「ガイガー」と名乗っているが、線量測定は半導体を用いるもので、いわゆるガイガーミュラー管は搭載されていないので正確にはガイガーカウンターではない。


今回、この「ポケットガイガーKIT for iPhone」の測定データをiOS用アプリ「GeigerBot」を利用してpachubeにアップしてみた。

pachubeを使うことを思いついたのは、ログを残したい、後から見なおしたい、という理由だ。「ポケットガイガーKIT for iPhone」用専用アプリ「ポケガイガー」は現行版ではログを残せないという弱点がある。そこで同じくアイフォンの音声入力から線量を割り出すアプリ「GeigerBot」を用いることでログを残すことを考えた。この「GeigerBot」はpachube(パッチベイ)という米国のサイトにデータを送る機能を持った優れもののソフトだ。しかも無料だし。

このpachubeとは、米国の各種データ公開サイトで気温や湿度、放射線測定値などが世界中からアップされ、日々更新されている。このpachubeを使うメリットは、1.ログを最長一ヶ月残せる、2.全世界にデータを公開できる、というものだ。なお、「GeigerBot」はメールでもログを残せるようだが、どうも送出する操作がマニュアルを読んでもわからず、そちらは放置したままだ。

ポケットガイガーKIT for iPhone」「GeigerBot」「pachube」を組み合わせることで、モバイルで測定したデータを手軽にネットに送信し、気軽に閲覧できるシステムが構築できるわけだ。さらに「ポケットガイガーKIT for iPhone」用専用アプリ「ポケガイガー」ではその場限りで消えてしまう測定データを、アイフォンの3G回線/WiFiを利用することでほぼリアルタイムで遠隔地からも閲覧でき、最長一ヶ月はログも残せる。

ただ、問題は「GeigerBot」と「ポケットガイガーKIT for iPhone」を組み合わせた時の各種パラメータがどこにも載っていないこと。まあ、そもそも組み合わせて使うなぞ、誰もまだやってないんだからしょうがないんだけど。ということで週末を使って、数値の組み合わせをいろいろ試した結果、なんとか「ポケットガイガーKIT for iPhone」用アプリ「ポケガイガー」の数値とpachubeで表示された数値が近似する組み合わせを見つけることができた。もちろん、この数値は私が試行錯誤しつつ導き出した設定値なので、間違っている可能性もある。また、本設定を利用される場合はすべて自己責任でお願いしたい。もし、違う設定で試している方がいたらぜひ情報を共有して頂ければと思う。また、この設定はiPhone 3GS/iPad(初代)で動作確認しているが、その他の機種、例えばiPhone 3Gでは異なる設定になる可能性があるようだ(リンク先記事参照)。それらも勘案の上、お読み頂ければと思う。

◎設定

アプリの入手

iOS用のGeigerBot、AppStoreから入手する(無料)。なお、画面はiPad用だ。


設定

「Setting」を開く。


データ入力の数値を設定する

「詳細」を開く。ここで「実効値測定間隔」=8、「ディレイ間隔」=18、「x実効値測定間隔」=1000にそれぞれ設定する。設定が済んだら左上の「Setting」をタップする。


変換係数を設定する

「Setting」で「変換係数」をタップし、「変換係数」の設定画面にする。「変換係数」=35に設定する(※追記 その後当方は「6」に変更して運用中、こちらの方が当方の運用環境ではGM管式線量計との整合性が高いように感じている)。設定が済んだら左上の「Setting」をタップする。


pachubeの設定

pachubeにアクセスする。データをpachuneで公開するにはアカウントを取得する必要がある。無料アカウントでは公開可能なデータは5個までとなっている。サイトの説明に従いアカウントを作成する。その後、転送用のAPIキーを取得するため、画面右側のメニュー「My API keys」クリックする。


API Keyの取得

「My API keys」画面を開いたところ。上段の「Your Master API Key」に表示されている暗号キー(モザイクが掛かっている文字列)をメールにコピーし、iPhone/iPadに送る。根性があるなら手入力しても構わない。


入手したAPI KeyのGeigerBotへ入力

「GeigerBot」の「Setting」→「Pachube」設定画面を開いたところ。最上段のAPI Keyに先ほどpachubeで取得した暗号キーを貼り付ける。feed ID(取得した自分のアカウントのID)、「Datastream」[1][2]でpachubeに送るデータを設定する。なお、「Datastream ID」は適当な数字で構わないようだ。要はpachube側とGeigerBot側でそれぞれ同じ数字になっていればOK。


pachubeにフィードを設定する

pachubeにアクセスし、右側の「My account」メニューから「Create a Feed」を選ぶ。画面は「Create a Feed」の設定。GeigerBotとdetastream番号やfeed IDを合わせ、「CPM」「μsv/h」などを正しく設定する。解説文はわかりやすく、また外国語でも説明を付けておくといいだろう。最後に最下行の「Save」をクリックすれば終了。


データの表示

データを送出させてみたところ。GeigerBotのデータがpachubeに届かないと、グラフそのものが表示されない。グラフが表示されていない場合は、送出側受信側いずれかの設定ミスなので確認すること。グラフが表示されていれば設定成功。お疲れ様でした。
なお、β線を遮蔽するフィルタを取り付けないと不正確かつ高い測定値が出るので要注意だ。