武蔵野読書生活

神保町と古書店、そしてうまいカレーが好きな本好きのブログ

進まぬ巻数に妄想走るw

ふらっと昼飯時に立ち寄った書店に並んでいたのが『ベルセルク』第35巻、もちろん最新刊。以前は、春と秋の年二回刊行のペースだったが、どうも最近は乱れがち。ここのところは年一回秋刊行という感じになっている。

今回の内容は…と書きたいところだが、まあ読んでのお楽しみ。
なかなか目的地妖精島には着かないのだな、とだけ言っておく。

ただ、作者も最近語っているようにベルセルクが完結するまであと何年かかるか、というのが大変気になるわけだ。作者の三浦健太郎氏は1966年生まれで今年44歳。あと15年から20年くらいは現役だとしてもベルセルクがあと15巻から20巻で終わるとは到底思えない。
年二回刊行に戻って30巻刊行できれば終わりそうだけどね。と言って内容スカスカで速成大量刊行されてもなあ…

小説世界だと「シェアワールド」などと言って、世界観の共有を前提に別の作家が本編続編や外伝を書くことがある。例えばシェアワールド系タイトルおして最近では田中芳樹氏の『七都市物語』の世界観を活かして他の作家が書き下ろした『七都市物語シェアワールズ』というのが結構面白かった。

七都市物語シェアワールズ』では、参加した横山信義氏や小川一水氏、羅門祐人氏などが持ち味を生かして作品世界を補強するエピソードを書いている。架空戦記作家の横山氏はポールシフトで変わり果てたカリブ海での対潜作戦を、同じく羅門氏は旧ソ連の幻の怪鳥「カスピ海の怪物」を取り上げている。こういう展開も悪くはないなと感じた一冊だけど、続編が出てないところを見ると商業的にはあまり良くなかったんだろうな。

話が脱線したけど、ベルセルク完結にはもうシェアワールド的な展開しかないのでは、という気がしてきた35巻発売の午後でありました。

テルマエ・ロマエ、風呂に入ってから読むか読んでから入るかw

日本人は風呂好き(断言)。しかしそれに負けず劣らずお風呂好き好き民族がローマ人だったとか。今のイタリア人を見ていると(個人的に友人が居るわけではないが)あまりピンと来ないが、ローマ人の風呂好きはかなりのものだったらしい。イタリアも火山国で温泉が多数ある、というのも背景なのだろうが、ローマ風呂に凝らされた数々の技巧や装飾は相当なものだったらしい。そんな風呂好きローマ人を主人公にしたコミック、『テルマエ・ロマエ』が売れている。広告のアオリ文句によると累計130万部とか。日本人は風呂が好きだが風呂漫画も好きだと言うことか。ちなみに第2巻は明日9/25発売だ。

さて、あらすじ(第1巻)はこんな感じ。

ローマ建国から800年、文化的に爛熟期を迎えたハドリアヌス帝治世のAD128年。主人公で建築技師ルシウスは、デザインの古さから建築事務所をリストラされてしまった。愚痴を言いつつ家路についていたが途中で友人マルクスに出会い、気分転換に風呂に誘われる。二人で向かった先が公衆浴場。そこでルシウスは浴槽の中に口を開けていた不思議な穴に吸い込まれ、穴の先には平たい顔をした謎の民族(第1巻の帯にも書いてあるとおり日本人だけど)が集まる浴場だった。軽くて丈夫な桶、壁に極彩色で描かれた火山を描いた風景画、そして腰に手を当てて飲む冷えた乳製品などルシウスには刺激的な世界が広がっていた…

というお話で基本形式は昔話の異世界物みたいな展開、主人公ルシウスの暮らすローマ帝国と、毎回風呂の向こうに広がる平たい顔族とその異世界文明とのギャップが楽しいコミックだ。疲れているときでも気軽に読めるのがイイ。シャンプーハットをルシウスが王冠だと思い、被ったじいさんを「(平たい顔族の)族長なのか!?」と勘違いしたりとあちらこちらに作者ヤマザキマリ流のギャグがちりばめられているのがまたイイ。

ちなみに古代ローマの街並みや建造物について知りたいのなら下記左の本がビジュアルでお勧め。ローマの著名建造物を、現在の姿と建立当時のCGを並べてビジュアルに構成してあり、主人公ルシウスが暮らしていたローマの街頭の雰囲気を居ながらにして楽しめる。右の書籍は、紀元115年の古代ローマ全盛時代のある1日を、時間の流れに沿って克明に再現している。ローマ市民の起床から食事、裁判や処刑、宴会やコロシアム、トイレや公衆浴場などを詳しく解説している。まさにルシウスの生活を追体験することができる名著だ。

また、本格的にローマ史を通読したいのなら塩野七生さんの一連の著作がお勧めだろう。『ローマ人の物語 賢帝の世紀』(中)に取り上げられているハドリアヌス帝がルシウスの活躍した時代だ。

異民族に対する戦争、男色家とも言われる皇帝の日常生活などが血肉が通う様に活写されている。ローマに興味をもった人にはこの「ローマ人の物語」シリーズはまさにお勧めだ。

「はやぶさ」明日からJAXAiでカプセル展示、模型新製品も登場

 大手町のJAXAiで「はやぶさ」の大気圏突入カプセルの展示が明日15日から始まる。また、府中郷土の森博物館などで上映中の「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH- ハヤブサ〜バック・トゥー・ジ・アース」も大人気上映中。DVD、BDにもなったが、ここは府中郷土の森博物館でプラネタリウム投影による大迫力の360度全周囲映像で見てみたい(9/5まで)。その他の上映館情報はこちら

 ちなみに書店店頭に行くと科学コーナーに「はやぶさ」関連本が何冊も並んでいる。ざっと見た限り3冊は新刊で出ていた。イチバン面白くてイチバン売れているのが山根一真さんの小惑星探査機 はやぶさの大冒険』。山根さんが「はやぶさ」打ち上げ前から綿密に取材した内容が惜しみなく書かれた名著だ。ジャーナリストらしい鋭い切り口を保ちつつ、中学生でも読めるようにわかりやすさにも気配りがある。あまり宇宙関連に詳しくない人でもサクサク読める。入門者から初級者向け。

 ビジュアル系で読みたいならニュートンムックの『探査機はやぶさ7年の全軌跡―世界初の快挙を成し遂げた研究者たちのドラマ』だろうか。各種写真、イラスト、そして開発者インタビューと初級者から中級者向けでよくまとまっている。山根さんの本と合わせて読みたい一冊だ。

 新刊じゃないけど読んで良かったなと思ったのは『現代萌衛星図鑑』。「はやぶさ」帰還前に書かれた本なので、情報がやや古いがお馴染みの気象衛星「ひまわり」日本の衛星から今回の「はやぶさ」までを網羅的に全ページフルカラーの詳細イラストで紹介。監修はサイエンスジャーナリストの松浦晋也さんと内容的にしっかりしている。読み応えの充分でまさに図鑑として一家に一冊備えたい本。結構マニア向け。

●立体「はやぶさ」も金銀メッキで再登場!
 最後に紹介するのは本じゃない。「はやぶさ」のプラモデル。アオシマの1/32は出る度に完売、今やプレミアム価格で売られている。で、今度はアオシマから金銀メッキバージョン小惑星探査機 はやぶさ 特別メッキ版」が発売される。もう、プレミアム価格で買わなくてイイし、塗装もほとんどせずに完成できるようなのでラクチンだ。なお、さっき予約注文したらAmazon.co.jp限定販売」だとか。店頭には並ばないのかな…

 本体は金メッキ、周囲のパーツは銀メッキ、太陽電池パネルはシールで再現だそうだ。これなら手も汚れないし、休日にサクっと作れるだろう。
ということで「はやぶさ」ブームはまだまだ沈静化していないようだ。


はやぶさ」最後の画像から作られた壁紙。「はやぶさ」最後のミッションは「地球の撮影」。「はやぶさ」は撮影には成功するものの送信中に大気圏突入で燃え尽きる。モノ言わぬ機械の小さなエピソードだが、多くの人の心に静かな感動を与えた。

鬼才ヒラコーの快進撃!『ドリフターズ』

 先日、「今、『ドリフターズ』が面白いらしいッスよ」と知人から聞いた。
 最初、あの「ウィーーーッス」のいかりや長サンの方かと思ったので「え、何をいまさら?」と更に聞いたら、あの学園黙示録でも大活躍のヒラコーこと平野耕太の新作だとか。
こりゃ読んで見ねばなるまいて、と読んだら面白いんだよな、これが。まだ第1巻が出たところだけど、さすがぶっ飛んでいるヒラコー。のっけからナゾだらけ飛ばしすぎなにこれコワイって感じwだ。

 主人公は島津豊久、関ヶ原合戦終盤での「島津の退き口」から一瞬にして異世界に転移させられるところから物語が始まる。そこはまるでウルトラセブン「第四惑星の悪夢」長官執務室のような場所、そしてさらに異世界へ転移させられる。ここまで説明一切ナシ。転移先の欧州中世風の世界でエルフの子供と出会い、連れて行かれた先には第六天魔王信長に美少年那須の与一となぜか歴史上の人物が待ち構える。
いったいこの世界はどうなっているんだ…という感じで魅力的な物語が始まるのだ。

 他にもハンニバル、スキピオ、土方、ジャンヌダルク、菅野直と歴史上の人物が綺羅星のように登場する。まるで山田風太郎魔界転生に豊田有恒『スペースオペラ大戦争』を掛け合わせ、そこにちょっと『ベルセルク』や『ガンツ』を隠し味で入れたようなSFテイスト満載のコミックだ。おまけにヒラコーの好みで佐藤大輔風の味付けがあり、「ドラボーン」とか「空中警戒騎」とか皇国の守護者『A君の戦争』(おっとこれは別著者でしたなw)あたりで見かけそうな単語がゾロゾロと出てくる。

 しかしなんといっても良かったのは菅野直がドラゴンを敵と認識するシーン。一瞬「じわっ」と来ましたね。日本人ならあそこではああ行動するだろうなあ、と。ということで『ドリフターズ』は歴史好き、ミリタリー好きにお勧めだ。

 ちなみに本体表紙(カバーの中ね)は某玉吉先生ファンなら激怒しそうな喜びそうなイラストがw
相変わらず遊び心の多いヒラコーだよなあ…

世界を核戦争の淵から救え!

「ねんがんのBOPデザイナーズノートを手に入れたぞ!」

ということで、20年ぶりに読みましたよ、『バランスオブパワー デザイナーズノート』。Amazonマーケットプレースで入手したがお値段9,000円w
なんでこんなに高いのか。まあ、1989年初版で以降増刷が掛からなく、そのまま消えた名著だからということなのだが、さすがのお値段に逡巡すること三ヶ月、ちょいと小金が入ったので清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入したのであります(笑)
 「バランスオブパワー」とは、1985年に米国のクリス・クロフォードによって発表された戦略級シミュレーションゲームだ。プレイヤーは合衆国大統領、あるいはソビエト書記長として1986年から1994年にかけて威信をかけて、世界の覇権を争う。ただ、このゲームには戦闘シーン等は一切ない。各国に対する外交や援助、内政干渉によって自国陣営を強化し、相手陣営を弱体化させねばならないのだ。援助、干渉、派兵の予算や人員の数字をひたすら地道にパラメータとして増減するだけのゲームだ。

 実はウチにこのゲームがある。 写真右上がそのパッケージと同梱されたマニュアル、今回購入したデザイナーズノートだ。ただ、もう稼働する実機がないので、残念ながらパッケージを見て楽しむだけなのだ。ゲーム製作は米ソ対立華やかりし頃なので、本書のマニュアルや解説書にはソビエト連邦」「フィンランド化」「冷戦」などもはや死語と化した、30代以上の人には一種懐かしい単語がてんこもりだ。現実の世界のソビエト連邦は、レーガン軍拡に対抗したが失敗し、1991年に滅亡してしまった。まさにゲームシナリオの期限である1994年まで持たなかったことになる。右下の画像はプレイ画面。大昔に1枚だけハードコピーを取っていたのを今回探し出したモノw

 で、『バランスオブパワー デザイナーズノート』はゲーム解説本だけど、ただのゲーム解説本じゃあない。『バランスオブパワー デザイナーズノート』には、「フィンランド化」とは何か、など国際政治学の用語の解説、そしてクリス・クロフォードが「冷戦」をゲーム化するに際に用いた各種計算式、ゲーム化に至った過程などが掲載されている。かつてはゲームデザインの教科書としても使われたとのことで、本当に読み応えのある本だ。実際、Wikipediaの「フィンランド化」の項目で、本書が触れられているほどの内容の濃さなのだ。政治学、特に1980年代の歴史を学ぼうとする人にとっては最高のテキストになるだろう。

 ぜひ我が国の選良や官僚のミナサンにはBOPとシビライゼーションをぜひプレイして頂き、油断大敵弱肉強食の世界で日本国の進路はどうあるべきか考えて欲しいものであります(まあ、バランスオブパワーが動くパソコンはもう売ってないけど)。

日本空襲、模擬原爆は全国各地に投下されていた(追補版)

※こちらのミスで8/2版記事に付加されていたものを戻しました。

 米軍が原爆投下に備えて模擬原爆を用いていた事実をご存じだろうか。この模擬原爆は長崎型原爆「ファットマン」と同一形状で橙黄色に塗装されていたことから「パンプキン」と呼ばれ、1945年7月20日から終戦の詔勅が発せられる前日8月14日までの間に49発も福島・新潟以南の日本各地に投下されている。模擬と言っても炸薬2300kgの通常爆弾であり、投下に際して多くの犠牲者が出ている。地方では富山市やいわき(平)、宇部四日市、東京周辺では保谷や八重洲練馬や武蔵野市などの住宅地や工場が目標となっている。結果的にこの時期にB29少数機編隊による日本本土侵入と爆弾投下という攻撃パターンが多発することで、広島・長崎原爆投下時の防空、避難態勢が不十分になった可能性もあるのだろう。

 『写真が語る日本空襲』は、パンプキンを始めとして、米軍の日本空襲を米軍の側から記録した写真集だ。米軍側からの記録なので、通りにうずたかく積まれた焼死体も焼き尽くされた街路の光景などは1枚も掲載されていない。その代わり、如何に効率的に生産力を持つ都市や工場を焼き払うか、海洋国家日本の通商路を断つにはどうしたらいいかを考え抜かれた様々な装置、兵器が随所で紹介されている。加えて国民を動揺させるための心理作戦に用いられた各種ビラにも誌面を割いている。ページをめくると、冷静な筆致と写真から「国家総力戦を効率的に近代兵器で戦う」ということがどういうことかがじわじわと伝わってくる。

 大戦末期、筆者の実家も空襲を受けた。空母艦載機による機銃掃射と小型爆弾の投下だが、幸い実家には命中弾はなかったが、つい数年前まで灯火管制で白い土壁を黒く塗った跡が残されていた。戦争経験者の我が家の父母は健在だが、戦後60年以上を経て戦争について語る人も少なくなってきた。本書は米軍側から見た第二次世界大戦日本空襲の実相を知る有効な手がかりとなるだろう。

※追記

◎パンプキン投下都市一覧

パンプキンによる攻撃が実施された国内の都市名は次の通り。

都道府県 投下数 投下都市名(カッコ内数字は当該都市への投下数)

  • 1 北海道 0
  • 2 青森 0
  • 3 岩手 0
  • 4 秋田 0
  • 5 宮城 0
  • 6 山形 0
  • 7 福島 6 福島(1) 郡山(2) いわき(平)(3)
  • 8 新潟 3 長岡(1) 柏崎(1) 鹿瀬(1)
  • 9 茨城 2 北茨城(大津)(1) 日立(1)
  • 10 栃木 0
  • 11 群馬 0
  • 12 埼玉 0
  • 13 千葉 0
  • 14 東京 2 保谷(1) 八重洲(1)※皇居を狙って投下したが外れたと伝えられる:出典Wikipedia
  • 15 神奈川 0
  • 16 山梨 0
  • 17 静岡 3 焼津(1) 島田(1) 浜松(1)
  • 18 長野 0
  • 19 富山 4 富山(4)
  • 20 石川 0
  • 21 愛知 8 名古屋(1) 春日井(4) 豊田(3)
  • 22 岐阜 1 大垣(1)
  • 23 福井 1 敦賀(1)
  • 24 三重 3 四日市(3)
  • 25 滋賀 1 大津(1)
  • 26 京都 1 舞鶴(1)
  • 27 大阪 1 大阪(1)
  • 28 奈良 0
  • 29 和歌山 1 有田(1)
  • 30 兵庫 4 神戸(4)
  • 31 鳥取 0
  • 32 島根 0
  • 33 岡山 0
  • 34 広島 0
  • 35 山口 3 宇部(3)
  • 36 徳島 1 徳島(1)
  • 37 香川 0
  • 38 愛媛 4 新居浜(3) 西条(1) 宇和島(1)
  • 39 高知 0
  • 40 福岡 0
  • 41 熊本 0
  • 42 大分 0
  • 43 佐賀 0
  • 44 長崎 0
  • 45 宮崎 0
  • 46 鹿児島 0
  • 47 沖縄 0

合計 49

◎原爆投下目標決定の流れ
※『日本大空襲』第7章 広島・長崎への原爆投下命令、および『カラー写真で見る「原爆」秘録』より

 1945年5月2日、米国ワシントンDCで開催されたマンハッタン計画『暫定委員会』は、原爆投下都市として以下の4つを候補に挙げた。

  • 1 小倉(小倉陸軍造兵廠)
  • 2 広島(海軍造兵廠、宇品港)
  • 3 新潟(各種工場、港湾機能)
  • 4 京都(工業都市、旧首都、原爆の破壊力を試すのに都市規模が適切)

 席上、スチムソン陸軍長官は、フィリピン総督時代に京都を訪問した経験から「京都は日本古代の首都で、日本人にとって偉大な宗教的重要性を持った都市である」として投下に反対した。一方、原爆開発総指揮官グローブス少将は京都を投下第一候補として考え、会議は紛糾しそのまま散会した。グローブスは、京都は空襲の被害が少なく人口も100万人を超え、大学が多いので原爆を投下した場合、その意味を理解するだろうと考えていた。

 同年7月24日、ワシントンDCで開催された投下目標の選定委員会は、スチムソンの工作により、京都をリストから外し代わりに長崎を加えることを決定した。同25日、正式に原爆投下命令が下された。なお、翌26日のポツダム宣言発表前に指令は発せられていたことになる。

夏休み、妄想の海外旅行ならこれ!

 最近、県境のナゾとか変な国ネタなど地理・歴史の本が増えたと思いません?
 私は小国とか、滅亡した歴史上の国、全く架空の国とかが好きだ。小学生の頃、NHKで「プリンプリン物語」という児童向け人形劇が放送されたときなど、主人公一行が毎回新しい国を訪れる度に奇天烈な設定に喜んだ物だ。オサラムームー、アクタ共和国、バルンバ帝国… アクタ共和国の国歌など今でも歌えるw そんな国好きの私なので、ここ数年の国ブームはまさに大歓迎。知人の出版プロデューサーもこのジャンルでコンビニ向けの軽装本を2冊ほど手がけていたので、出版社にとって出しやすいジャンルなのかも知れない。で、そんな私が読んだ中でこれは濃くておすすめ!というものは次の2冊。

 まずは『国マニア』からご紹介。上のamazonリンクは筑摩書房版の文庫本だけど、ウチにあるのは交通新聞社版で、加筆訂正等で若干記述が違っているかも知れませんがご容赦を。こちらは珍国、小国を取り上げ、その国のどこが面白いのか、あるいは興味深いのかを深く掘り下げてくれている。例えば沿ドニエストル共和国旧ソ連の地域が独立宣言をしたところだが、未だにレーニン像が建っていて、今もソ連が生きている国だとか。こんな感じでWikipediaにもあまり書いてないような面白ネタが満載なのだ。寝苦しい夏の夜に睡眠薬代わりに読むのもありかも。

掲載国・地域

バチカン市国モナコ公国ナウル共和国、ツバル、サンマリノ共和国リヒテンシュタイン公国マーシャル諸島共和国、セントクリストファー・ネービス、モルディブ共和国マルタ共和国、アトス山、コソボ自治州アラブ首長国連邦ザンジバルグリーンランドプエルトリコバミューダ、クック諸島、ブーゲンビル自治州、トゥバ自治共和国、クリミア自治共和国、ユダヤ自治州、香港特別行政区チベット自治区沿ドニエストル共和国アブハジア共和国、南オセチア共和国、ナゴルノ・カラバフ共和国、北キプロス・トルコ共和国サハラ・アラブ民主共和国ソマリランド共和国、ピトケアン島、スバールバル諸島、クチビハール、ジブラルタルアンドラ公国、ブガンダ、マルタ騎士団、ビアフラ共和国、東パキスタン、ローデシア、シッキム王国、サラワク王国、北ボルネオ会社領、大東諸島、ニューヘブリデス諸島、中立地帯、ダンチヒ自由市、パナマ運河地帯、満鉄付属地、ホームランド


 で、もう一冊の『世界飛び地大全』は、更に国好き地理好きには堪らない「飛び地」を取り上げた本だ。「飛び地」って何?ってヒトも多いと思うが、例えばパレスチナ自治区。ヨルダン川西岸地区とガザ地区という二つのエリアに分断されているワケで、この場合主都があるヨルダン川西岸地区が本土でガザが飛び地になる。ただし本書によると実際はかなりフクザツで政府機関の庁舎はヨルダン川西岸地区とガザの両方にあり、加えて日本領事館はガザにあるのだとか。いや、よく調べてます。『国マニア』が前菜ならこっちはメインディッシュ。有名どころでは香港の九龍城からインド独立の際に吸収されてしまった欧州諸国の植民地や保護領とか、ほんと細かいところまで拾ってます。まさに教科書では教えてくれない歴史秘話だらけで、こちらは睡眠薬代わりのつもり読むとかえって目が覚めてしまうかも…

 ちなみにこちらは取り上げた地域が多すぎるので入力しておりませんw